第三十五回 オカルティカマグナム

2020 7/29  


オカルト。

ムーや恐怖の心霊写真で盛り上がった幼少期を経てブランクがあり、中学生から
再びムーに手を出しますが、暇つぶし程度でしたし、中2でギターを買ってもら
ってからはムーの入り込む余地は無くなりました。

そして時は流れて・・・
高校の時に友人T宅に集まって洋物無修正論や「あの女の事が俺は好きだ!」大会
で盛り上がっていた中、友人Tがゲームを始めました。
何気なく見ていましたがエンカウント時のBGMが異質かつ独特で、自分が今まで
やってきたRPGのエンカウント即バトルBGMでは無く、一拍置く不気味さと、そ
の音色の虜になりました。

それは女神転生Ⅱというファミリーコンピュータのゲームでして、
「そんなにヤイヤイ言うんやったらとりあえず今日持って帰れよ」
と気前の良い事を言ってくれたんですが、私の家にはヤリ過ぎてブッ壊れたまま
安置されたファミコン本体しか無い、と言うと本体ごと貸してくれました。

その後、スーパーファミコンが出たばかりで、欲しいなぁと思っている自分に鞭
打ってノーマルなファミコン女神転生Ⅱを買いました。この作品で大きく舵を
切られた私はいまだにオカルトの本を集めています。


堕天使、悪魔、天使、唯一神、妖術、魔術、魔法、錬金術占星術、魔女、吸血
鬼、教会、十字軍、薔薇十字、光翼教会、エノク、ドラゴン、カバラ、グノーシ
ス、グリモア、心霊、神秘、神智・・・
一口にオカルトと言いましても特に本場では無い日本では逆に幅が広がり過ぎて
しまいますし、英語を読めない私は殆どを洋書の翻訳に頼らざるを得ません。
そして本の値が上がる程、本の分厚さが増す程に内容の不明さも比例して上がり
ます。
読んでいて楽しいから読むのですが、ハッキリ言って私の脳みそでの理解度は岩
波、筑摩のガチ系本や専門書群を読んだ時のソレと差は無いと思います。
でも読む。時間の無駄。無駄は愉快。

皆さんの日常にはオカルトが介在する余地など殆ど無いと思われます。
結論から言いますと、興味を持つ必要も意味も無いと思います。
例えば錬金術
現在では、

「ん、そいつは一体何のマネだ?・・・ハハッ! ナメやがって!てめぇは錬金
 術師かよ!!!」
とか、

「部屋と錬金術と私」

などなどと使われるのが関の山かと存じます。

人類が核融合をモノにする未来では可能性はありますが、現在では不可能決定版
な術です。
でも元々はコレ、王者の学問とか言われてまして、数学、化学、医学、天文学
物理学、等々他一杯、を修めるた者が満を持して挑む最高課程だったようです。
それらの図解や解説書を見るにつけ、とても面白く、ワクワクはします。
最終目標となる賢者の石、というものが一体どういうものなのかが抽象的、とい
うのが錬金術の全てだと思います。
むしろ、その副産物の多くが現実的な利益と不利益をもたらし、錬金術と離れた
ところでも影響し倒しました。

オカルト。 要は自然現象との折り合いを無理やりつけるにはコレしかない!
の、大部分が今で言う迷信とごっちゃになって語り継がれている感があります。

呪い、マジナイなんかは一部現在でも犯罪です。
そしてこれらも未来にはハッキリと解明されて、その内容を取り締まる事が出来
るようになるでしょう。


不老不死。 吸血鬼。 悪魔を呼び出して使役し、一夜にして大神殿を完成。
これらは現在でも世迷言ですが、17世紀の人間からすれば現在の科学技術は完
全に魔法、超常現象と映る事でしょう。
で、私がオカルトにお熱な理由は、現在では軽々と余裕で解決できる、或いは解
決してきた案件に対して、解決出来ない、されていないが故に空廻ったり、暴走
する人々の恐るべき滑稽さを濃縮したものがダラダラと書かれているところが堪
らないのです。

疫病、飢饉、自然災害が神の怒りである。または死神、悪魔、或いは魔女による
所業であると断じ、それに基づいた様々な思考と行動が概ね大きく的外れで、そ
れでいて超真剣なのが眩しすぎるのです。
集団的無知蒙昧がもたらす恐怖心、妬み、嫉み、勘違い、思い込み、扇動、暴
走。
魔女狩りが依然過去のものとなり得ない現代人。
所詮何も変わっていない上に間違って捨て去ってしまったものも少なくないな
ぁ、と思うのも事実。

あとアレですわ、
「ムム、こいつワシを騙そうとしとるな。」
「何か知らんけどこの人の言動、行動に乗っかりたいなぁ。」
「あ!こっち行ったらアカン気がする。」
的な、勘とか感の類のアテにならないが馬鹿に出来ないモノ達に、現代ならそん
なものについて、あれやこれやと科学的結論を出そうにも無理がある上に、
「いや、それは勘やん。それでエエやん。」
と、証明はできなくても結論は出ているもの達。
現代では心理学、になるんでしょうか? 知らんけど。

ところが「彼」らはこれをアストラル光や霊的エネルギー等を用いて延々ガッチ
リ説明してくるのです。
勿論アストラル光の説明からガッチリ入るので、もう、それはもう、一体今、何
処に行くための何の説明をされているのかを一文字単位で目を覚ましていない
と、あっと言う間に日本語なのに何の字を読んでいるのか解からなくなって、戻
るハメになります。

しかしながら、冗長でロマンに走り過ぎとは言え、はっきりと真剣にこれらの状
態を超ナナメから定義付け、結論しているようなものを読むのは楽しいですし、
エエもん読んだ感がしますww
今でも解決出来ていない事柄を、今ほど情報も知識も無いが故に現代よりも素直
に言い切っていて、証明出来る日が来たらこっちが正解かもな、って思ってしま
う面白さがあります。


一応仏教徒八百万の神がおわす日本人な私。
私が好きなオカルト達の故郷の多くはキリスト教圏です。
古代神話へ行きますと多神教が多いのですがロマンチックな英国魔術結社系や
「天使と悪魔」シリーズはもれなく一神教で教会です。
教会の統治下、「科学」 が 「神の御業」 を証明するためだけの学問だった
時代の残滓。
予備知識が無い私にとって、そこには最早ロマンしか残されていないとしか思え
ません。

故に私は著者からすればズレた読み方、冒涜的な見方しか出来ていないかも知れ
ません。 彼らの真意を理解できないかも知れません。
その代償として「楽しみ」を得る背徳感。
と、タイソウに書きましたが、要は行った事の無いヨーロッパの地図や詳しく書
かれたガイドブックを見てドキドキワクワクするのと同じやと思います。

異文化ドキドキです。