第二十三回 Bring more souls!

2020 2/6  

 

デモンズソウル
或いはディーモンズソウルス。

テレビゲームの話です。

2009年2月3日。当時は普通にあったアマゾンのフライングゲッティンで
発売の二日前に届いて、ちょいとプレイ。
「ああ・・・」


私がフロムソフトウェアと出会ったのはキングスフィールドⅣです。
KFファンの間でシリーズ中最も評価の低いこのⅣこそが私にとってKFシリー
ズ最高のKFです。
そして人生でプレイした全てのTVゲームの中でも五指に入る快作になっていま
す。

Ⅰ~Ⅲもやりましたが、全部途中で止めました。
バカを承知で言いますが、ⅣをKFと捉えてしまった私にはⅠ~ⅢからKFらし
さを殆ど感じ取れなかったのです。

後にファンサイトで概ね逆の感想でⅣが浮いている事を知りました。
そして、その逆転はⅠ~Ⅲファンに分がある事も解かりました。
それでもなお、いや、最早私には刻まれたⅣの烙印の深さに取り込まれる事と、
とうに自庭の如く闊歩出来るこの大迷宮で一人輪舞を踊り続ける事以外に悦びを
見出せない脳になっていました。


Ⅴ・・・。   Ⅴはいつ出るんや!!!!!
Ⅰ~Ⅲがダメな以上、Ⅴを待つしかない。
Ⅳを一生やっていても良いが、とりあえず待ち遠しい。
仮にⅤが自分的にコケたとしてもしょうがない。
とりあえずやってみたい。

延々Ⅳをやりながら待った。
やればやる程、待ち遠しくなった。

そして、時は流れて・・・・・出なかった。

正確には出たが、Ⅴではなくアディショナルという食わせ物が2本。
そんな物を買うわけも無く、そしてⅤが出ない事はあるアナウンスで決定的にな
る・・・

「フロムからキングス系の何かが出る。」
一瞬 「おっ、」 と思うがキングスは出ない、という絶望と、系=アデショナ
ルという恐怖で身体中に終わった感が満ちた。

数少ない発売前写真を見て全身の毛穴から魂が抜けた。
ま、 ま、 まさかの三人称視点。
おおお、マジかよ。 よくそれでKF系の何かって言えたな!!
も、もう絶望しか無い。 ありえない・・・
一生Ⅳをやり続けなければならない。

とりあえず中古のⅣを一枚買い足して、KF記念ボックスのダークサイドボック
スの一枚と合わせて計3枚。
PS2本体もとりあえず一台買い足して将来的にはエミュレーターで・・・。
ふっ切れた、といえばふっ切れましたが、何だか腹が立つ。

「キングス系の何か」のサイトも立ち上がったのでチラっと見に行きましたが、
トレーラーを見ても、静止画を見ても溜息しか出ませんでしたよ。

だんだんだんだん怒りが増したのと、衝動買いで買ったPS3が開封される事な
く家にあったのが災いして、PS3最初の一本目として「デモンズソウル」を予
約してしまいました。

 

2009年2月3日夜。
当たり前だけどやっぱり三人称。
シュッ、シュッ!と武器を振りよる。 竹光か!!
くるりん とローリングしよる。
アクションやなー、アクションゲームしとるわ。

慣れないせいもあるのかな?・・・・・・・難しい・・・。

・・・難しい・・・・・・・・・・・・すぐ死ぬ・・・。

・・・わからない・・・・・・・進めない・・・。

・・・わかるけど・・・・・・・進めない・・・。

・・・あっ!落ちてもうた・・・死んだ。これはフロムあるある。

・・・アカン・・・・・・・・・・・すぐ死ぬ・・・。

・・・ちょっと進んだけど・・・・・・・また死ぬ・・・。

・・・アカン・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・今日はもう・・・。

これが一週間続いて一面のボスを倒しました。

世の中は理不尽なものです。戦場なんてものはもっと理不尽でしょう。
主人公は最初のドアタマで強制的に落命します。
選ばれた魂として強制的にスケスケのソウル体で任務の遂行を成さねばなりませ
ん。
もう死ぬ事はありませんし肉体が傷つく事もありませんが、スケスケの身体にダ
メージを受け、元々の自身に比べ半分になった体力が尽きればスタート地点に戻
されます。
何度も何度も何度も何度も何度でも。

そうして死を重ねて行きますと自身にとって世界が暗くなって行きます。

どんどんどんどん暗くなり、最黒にまで死を重ねますと最早前進不可能かと思うぐ

らいに難易度が跳ね上がります。

身動きとれず、新たにキャラクターを作り、やり直しました・・・。

後にアップデートでやや条件が優しくなり、メインキャラも復活しましたが。

 

同じく魂を捕らえられ、そうして心が折れた剣士が楔の神殿でへたり込んでいま
す。  無論スケスケで。
彼はもう何もしないのだという。
KFⅣのNPC達より遥かに口数の多い此奴めに不快感を覚えながら、またぞろ
死に斃れにに向かいます。 ボーレタリア各地へ・・・


基本、ゲームがヘタな私は乗り移ったかのようにキャラをブンブン動かせるよう
になるのに2ヶ月もかかりましたね。
そしてこうなると殆ど死なない。
レベルが上がったから、っていうのもありますが、このゲーム、レベルと死はあ
まり関係無いです。
丸きりの初心者にレベル300のキャラクター、我々に最低レベルのキャラク
ー、でも完全に我々が有利です。


そんなオタク自慢は置いておき。

BGMがない。 全く無ーーーい。
これはビビりましたね。
いや、そら確かに戦場で音楽が流れてる事はまぁ無いと言っていいでしょうから
ね。
エースコンバットグランツーリスモ等ではゲームのBGMを消す私。
元からBGMが無いっていうコンセプトが凄く嬉しかった。
風や炎の音、敵の唸り声がBGMですな。
素晴らしい!

が、一方で、キングスフィールドⅣのBGMが極端に良くって大好きだったので
期待をしていたのもまた事実です。

んで、BGMが無い(ボス戦や特定のエリアでは流れます)理由はすぐに解かり
ます。
足音とか何かが動く音等の音による情報に常に耳をそばだてていないと待ち伏せ
、罠などのギミックで落命します。  特に初見では・・・・

理不尽・・・では無い。
本当に集中して、状況を判断して、周りをよくよく見渡して、想像力を極限まで
働かせ、思いつく全ての状況に対応出来る練習を積み重ねたその後に、初めてそ
の一歩を進めて・・・
そうやって一歩ずつ一歩ずつ進めば、初見No Deathもありえるでしょう。

しかしこのゲーム、死ねば死ぬほど強くなり、強くなればなる程に面白くなりま
す。
それはもう、青天井に・・・。


このゲーム、ドラクエの様に戦場で戦闘を繰り返してもキャラのレベルは一つも
上がりません。
生前、一端の戦士として成人している人間の主人公が、落命しスケスケになった
からと言って、易々とスキルアップする訳もありませんわな。

とは言え・・・易々と上げる方法はあります。
人の道、理を捨て、ソウルの御業を自身に取り込めば、ぐいぐいパンプアップ出
来ます。
猛者プレイヤーは初期レベル、詰りレベルアップ一切無しで周回プレイします。

数周後、それはもう一面のザコ敵の爪の先が自キャラに触れた瞬間、蒸発するよ
うな状況下で一撃も貰う事無く全エリアを蹂躙する。

 

石畳と床板と金属床と砂と水とドブと・・・あと何があったかな?
歩行音がキチンと変わる。これだけで一生モノですよね!

そして! 弓を引く姿、引き方がガチ! 
実はこれが再現されているTVゲームが極めて少ない・・・と思う・・・知らん
けどww

私はデモンズソウル以外でガチ引きしているTVゲームを一本も知りません。
その後出るソウルシリーズも、確か・・・・・ダークソウルのロングボウ辺りは
マトモに引いてたかも知れませんが、他は丸きりダメですし、そもそもデモンズ
の複合ロングボウを引く時のような完璧さとは全く比較になりません。

ダークの2は文字通り全滅ですね。
全ての弓をオーランドブルーム引きで引きます。
あの・・・あと・・ダークソウル3はやった事ありません(テヘペロ


まぁ、とにかく、2009年の発売からまるまる11年経った今もチョイチョイ
遊ぶこのゲーム。
KFⅣはおろか、わが人生で打っ千切の第一位に座する最高のTVゲームでござ
います。

それでもオオヨソで2800時間程しかプレーしていないので、死ぬまでに1万
時間にはしたいなぁ、などと思う今日この頃でござんす。

右に欠月、左に狂気、滲む濃霧の甘美な事よ・・・

ソウルを求めよ。