第四回 そして伝説へ

2018 8/16  


べーかわさん、えらい宣伝して下さって有難う御座います。
あのベースボールプレイヤーの写真の意味が私には判りかねますがもしかした
ら、夜の素振り世界選手権の永久シードを持つ私とかけて、あのような写真を貼
って下さったのかな? と。

夜の素振り世界選手権について「もっと知りたい!」と興味を持たれた方がいら
っしゃいましたら事務局のあるストックホルムまでお越し下さい。
私も大抵は局内に居ますんで、詳しくご説明させて頂きますよ。
そして出来れば白夜とその前後、5~8月はご遠慮いただきたい。
この時期はどうしても我々選手及び関係者全員の、素振りの回数、タイミング、
質、精度が落ちてしまいがちで、解かっていてもイライラしてしまいます。
せー角のオまえrあ見学syへの説明もざつにんあnりがちや・・・ああ  
もう!

ひとしきりスベった所でこんな事言っても説得力が無いですが、今回は面白いで
すよ!
私は今から書くエピソードを500回思い出して500回とも笑っています。
まぁ前回言ったように私は笑うツボがズレていますんで、何にも面白くなかった
場合は、ああ、こういう事か・・・と思って下さい。


以下は私が創作したネタ話ではありません。極々一部私も一緒にそこに居合わせ
た事もありましたが、ほぼ、ある二人の男女による奇跡譚です。

故人である私の祖父は我が一族きっての傑物であり、広い世間を見渡しても彼と
比肩し、越える人物にお目にかかった数は片手で余ります。
その娘である我々の母親も、なかなかの女傑でございます。
で、その子らである私と妹が何故か凡百以下という。何故なの?  解せぬ。

が、神は妹にだけ、たった一つ特殊な能力を与えました。
祖父と絡む事でウィザード級のイリュージョンを起こすオーバーテクノロジー
前置きが長いですね、さぁ行きましょう。


小学生の妹が宿題で漢字の読み書きをしていました。
「鋼」という漢字が読めなかった妹は、部屋が隣である祖父に聞きに行きまし
た。
「爺ちゃん、これ何て読むの?」
「どれや。・・・ああ、これはお前、カナオカや!」
ビシッ!流石です。
妹は疑う事無く、かなおか、と書いて提出し先生にこっ酷く怒られます。

 

妹の誕生日なので祖父がいつも通りプレゼントを買ってくれます。
電車に乗ってミナミへ。
デパートを巡りますが妹が欲しい「のりぴー人形」はどこにも売っていません。
かわいい孫の為にあらゆる百貨店を廻りますが売っていません。
朝家を出て、夕刻までかかってやっと売っていたのりぴー人形を見た祖父。
愛しい孫のお目当てが見つかり本来なら
「おお、OO子、売ってて良かったな。」  となる所ですが
さすがの爺様もその時ばかりは
「ええ!?何やお前、こんなもんが欲しかったんか!」
わかります。
大正生まれで無くても、あんな物が入手困難な事もイマドキのおんなの子が欲し
がる物の感覚もわかりませんよ。
私も当時ソレを見て、値段を聞いて、ひっくり返ったのを覚えています。

 

妹と爺ちゃん。
映画も見に行きますよ。
爺様は定期を持っていますが、妹は切符を買わねばなりません。
「爺ちゃん、私切符買うから」と妹が言いますが
爺様は耳が遠いです。
妹が切符を買ってホームに下りても爺様の姿は何処にも在りません。
妹は公衆電話で母に電話し、取り合えず行き先の駅まで行ってみたら?
という事になり、電車に乗ります。
途中の駅で降りていた爺様と上手い事乗り合わせれたものの爺様開口一番
「何やおまえ、どこ行っとったんや、ワシずっと一人で喋っとったやないか!」
知らんやん・・・ワタシ切符買うって言うたやん。


イマイチ字に起こすと面白くないですな。
皆さんが二人の事を知らないってのもアレですな。
ま、お盆ですしね、亡き祖父を想いながら続けましょう。


爺様と妹、私も一緒に映画を見に行った時にはこんな事も。
入場して席も空いています。
「此処がええ。」  「此処で見たい。」
我々が此処へ来た目的の半分であるお菓子やジュース。
当然それらをおねだりしますから、3人で買いに行きます。
意気揚々とさっきの席に戻りますと誰かが座っています。
当然です。
チラシもパンフレットも帽子もカバンも我々の痕跡の一片も残さずに離れたので
すから。
「おい! そこワシらが取っとった席や!」
???マーク全開の女性二人がポカンとしています。
我々二人が可愛すぎたからか、爺様の理不尽すぎる要求にヤバさを感じ取ったの
か、すんなり譲ってくれました。
お菓子にジュース&映画。
この時の演目がギャング映画だったら言う事無しなんですが、残念、スペースキ
ャンプっていう銀河漂流バイファムも真っ青なスペースシャトル物のアメリカの
馬鹿映画でした。

 

夏。  夏休み。
爺様は金持ちだったので毎年、家族旅行に連れて行ってくれます。
あれは確か仙台へ行った時の事。
爺様は酒豪のくせにソフトクリームだけは別腹です。
特に旅行に行った先では見つけ次第、食べよう、と言います。
我々もキライな訳が無いので便乗します。
順番に買ってくれて、ほい、ほい、と手渡されます。
うまい! やっぱりソフトクリームは美味しいですね。

今でこそミニストップ辺りへ行けば美味なソフトにありつけますが昔は安物のシ
ケシケコーンにカチカチのバニラアイスを盛ったブサイクな信号灯みたいなもの
をを平気でソフトクリームっつって売ってましたからね。
大好きでしたけどね、
むしろそっちが日常やし。
口当たりハードやけどマジソフトやし。

で、妹、奴は持ってますからね、受け取ったソフトクリームを一口目で手元に
コーンだけ残して「主役」の部分を九割落下させる訳です。
「あ」  「あ!」  「ああ・・・」
皆が、あ、しか言わない中で爺様は妹のコーンを 「貸してみい」と取り上げ、
残り一割、とにかく白色部分を完全に吸い尽くし、目の前のソフトクリームスタ
ンドの姉ちゃんに
   「おい!これ上がのってなかったぞ! やりなおしてくれ!!」
一部始終、とまでは言いませんが、「主役」が真夏の地面の上で急速に変形して
いく様はスタンドの姉ちゃんからも丸見えです。
ていうか多分一部始終見られてますわ。
しかし我々家族も高度に訓練されていますので、何となく「主役」を囲んで姉ち
ゃんから見えない様に立ち回ります。
ちょっとした押し問答の末、爺様の手にはタイムフロシキを被せたかの様にコー
ンの上に白い「主役」が凛々しい姿を取り戻していました。
「おい、OO子、今度は落とすなよ! はっはっは」
スタンドに丸聞こえの爺様の自供に姉ちゃんが苦笑していたのがせめてもの救い
でした。


まだまだある筈なんですが、今はちょっと思い出せませんね。
まぁとにかく、爺様も妹も単体では偉大な賢老とタダの少女なんですが二人が混
ざると三重ヘルメスも真っ青な練成がドッカンドッカン起こるのです。

私は祖父を心から尊敬しております。
大過ぎて全てを規範には出来ませんが、
「うーん、確か爺様はこうしてたなー」 とか
「爺様の名に泥を塗るような事だけはせんとこ」
ってのはずーーーっとありますし、そのお陰で一応マトモな道を歩んでいると思
います。