第三回 木の実気のまま

2018 8/11  


私は色々とズレています。
人の笑わない所でゲラゲラ笑ったり、誰も泣いていないのに号泣してしまったり
します。
美味しいと噂の店の殆どに落胆し、これはキタっ!!と思った店や清涼飲料水、
コンビニ商品はだいたい姿を消していきます。

地デジ化と共に姿を消したテレビも今の所復活の予定は無く、ケータイもガラケ
ーのまま。

人に合わせるのが嫌ではありませんし、車を買うんだったら色はピンクにしよ
う、という皆と一緒は嫌人間、でもありません。
むしろ、ユニクロの下着にリーバイ、適当なTシャツに量産型ギブソン、と大量
生産品の申し子のような私。

しかし、物や物事の価値観や五感で感じた答えの出方、出し方が違うなーって事
が多いです。
多かれ少なかれ、それが違うから人同士が成り立つっつーか、面白い訳ですか
ら、いちいち書かなくていいのですが、中でも大きく違う所をクローズアップし
て、「あ、俺も俺も、一緒やん」 ってのを期待して書かせていただきます。


幼少の頃、近くに大公園があったので殆ど毎日そこで遊んでいました。
様々な種類の木が何千、もしかしたら何万本と植わっているのですがある時、木
の下にドングリが大量に落ちていたので、それで遊んでいました。
旨そうな色艶、流線型、大量、と少年が興奮するのに十分なシチュエーション。
他の皆が飽き飽きしてる中、私はそれらを見て、触って、集めていました。

次の段階へいく時間です。
私はそれを服で拭いて口に入れてみました。
味はしませんが可能性を感じたので、一旦出して見ていると友人が
「ドングリは食べたらあかんで」 との事。
ええ?  ああ・・・確かに、今こうやって大量にあるって事は誰も食べないか
らなのだろう。
リスが 「ドングリ! ドングリ!」と歓喜して食べているのをアニメーション
で見た事があった。
この公園でも極稀だがリスを見た事はあるが彼らだけでは捌き切れないのだろう
か。

踏まれたりして殻が割れている物も多いが、汚れているので自分で割る、という
か裂いてみます。
中は白くしっとりしてて美味しそう。
だが・・・食べたらあかん  のか・・・残念。


で、公園では虫たちが木、土、枯葉、等を旨そうに食べています。
茶色や焦げ茶色のものは美味しいのでしょう。
中でも私は木を食べたくて仕方が無かった。
見た目、匂い、色、どれを取っても美味しいに決まっている。

枝をへし折って齧ったり、剪定されて間の無い断面を舐めたりしていたが美味し
くない。
鼻で感じる香りは良いが、如何せん味がしません。
ある時、虫共が幹の一箇所に異常に執着しているを見つけます。
水あめのようなものが塗られていて、それを求めているのでした。
まさか木からあんなものが出てくるなど夢にも思わない私は、誰かが虫の為に塗
ったのだと思いました。
蜜で悦に入っているカブトムシの背中が隙だらけだったので、有り難く採集させ
て戴きしました。

大人になって天王寺でドングリのケーキを食べ、金剛山で樹液を舐め、どちらも
大変美味しかった。
では満たされぬ木を食べる欲求をお前はどうしてるのか!
大いに引っ掛かっていらっしゃると思います。
私の場合はローストしたアーモンドで満たされています。
外見は木の樹皮、年輪はありませんが断面も木にそっくりです。
外皮の模様も渋味も木の樹皮っぽくて完璧。
オマケにあいつはバラ科なので「バラの花を食べたい」と
「ギターの指板を食べたい」にも対応できます。
単純にアーモンドの味も香りも大好きですので一石四鳥となる事も。

ちょいちょい、完全食品といってもてはやされるモノが現れますが、私にとって
アーモンドは木を食べたい時に他では代用が一切利かない専用食品なのです。

あとはキノコが大好きです。木ぃの子供っつー事で木を食べてるのと同じです
な。 中でもシイタケは大好物です。

そういえば私が幼少の頃は、でんしんぼー(電柱の意)が木で出来ていてそれに
広告やビラが糊でベタベタと貼り付けられていました。

ある時・・・何故なんでしょうね??
今もって答えは出ないんですが・・・
そのビラや広告を引っ剥がして食べる、という行為が一日だけ流行ったんです。
剥がして食べてはゲラゲラ笑う子供達。←今はこういう子、見ませんな。

ビラ広告の記憶は黄色に青字や白色に青字が多かったな、くらいしか記憶があり
ませんが木の電柱の事は割りと細部まで覚えております。
やはり木を食べたい心が一瞬でも木と同化した紙片に目を付け、それを食する事
で木を食べた事と同じ意味がある、という論理的帰結に達したのでは? と私は
踏んでいるのですが・・・
恐らく当時、木に対して食欲を持っていたのは私だけなんです(涙涙

まぁ幼少の頃と言うのは奇行が服を着て歩いている様なものですから、成人した
我々では最早その答えに辿り着くことは不可能やも知れません。


食に関する事は他にもまだまだ一杯書きたい事がありますので、このブログにも
時々投稿すると思います。