第五回 女たち

2018 9/2  

 

アレサが逝ってしまいました。
B・Bの時もそうでしたが、PCの文字で知り、一人、部屋で、「あっ!」と声
を出してしまいました。

B・Bの時と違って感傷的になりますね。
両名とも親類でも友人でも知り合いでも無く、話した事も無ければ生で見た事す
ら無いのですが、B・Bとの違いはやはりアレサが女性であるからです。


アイドル、は、ピンクレイディーに最初で最後に激ハマりして以来は聖子ちゃん
も、キョン×2も、おにゃん子倶楽部もピンと来ないまま大人になってしまいまし
た。

一方、アニメーションの女性達、即ちゲームセンターあらしのすみれちゃん、
則巻アラレ、エル、アオイ、牧村美樹、早瀬少佐、リボンのサファイア、ラ・セ
ーヌのシモーヌ、アーマロイドのレディ、メルモ、ドロンジョ、マチコ先生、し
のぶ、アンシャーリー、フラウボゥ、エメラルダス、ナウシカ、等々等々
素敵すぎる彼女らに一年中フィーバーしていました。

私には、この線と色で出来た動く絵に声優が命を吹き込んだ女達がアイドルだっ
たのでしょう。

あとは昔は地上波で洋画も邦画もバンバン見れましたし、海外ドラマなんかも
色々見れましたので、やっぱアメリカ辺りの女優なんてーのは日本のアイドル歌
手より大変に魅力的に見えたのでございます。
「うわ!いいな、キレイな、この人」と思っても、チョイ役でその後殆ど出てこ
ない、残念。と言う事もしばしば。
テレビじゃあエンドロールは基本的に流れませんし、そもそもチョイ役すぎて、
何という役でクレジットされているのかすら分からない。

しかし、主役、或いは主役級ともなりますとバッチリ名前がわかります。
それらをメモしている内に
「あーれ??この人の名前、前にも声の出演で見たぞ。同じ人が色んな外人の吹
 き替えするのか?おかしくないか?」
などと思い始めてから声優というジャンルがあるのを知り、人生が少し変わりま
した。


さてアレサ、彼女は勿論女性ですし、偉大なミュージシャンです。
今、私は松田聖子のアルバムやコンサート映像を見て、素直に凄い、大好き、と
言えますが、昔は何故この音痴ねーちゃんの歌が一位に輝くのかが解かりません
でしたし、その事に嫌な感じと暗いものを感じていました。

チャチャチャの人とか、五輪真弓、エポ、女性演歌歌手全般、テレサテン他、聖
子ちゃん率いるアイドル軍団の殆どと比べ明らかに歌のうまい人達とヘタなアイ
ドル達。
だったら私は歌のうまい人達を応援したい。
私にとっての女性アイドルは先ずは全員歌上手いで!という事にしよう。
フリフリやパステルカラーは脳内で私が彼女らに着せればいい。
シンディローパーはそのままいけるし。

私の初恋の相手がアラレちゃんで、私のファーストキスの相手がLP「おかえり
なさい」の中島みゆきである事はあまりにも有名ですが、私の女性トップシンガ
ーの一人がアレサフランクリンである事はあまり知られていません。
トップシンガーの一人、と書きましたが、いい加減な私は「ジャズボーカル部
門」と「ソプラノ部門」、そして「その二つ以外の全て部門」の3つにしか分け
ておりません。
アレサは「その二つ以外の全て部門」の頂点に実に20年以上君臨し続けました
し、今後暫く、或いはずっとそこに居るかも知れません。


因みに男性ボーカルは部門も無ければ順位も特にありません。
それは私が「歌」そのものに対するセンスが低いからです。
忌野清志朗も一人やチャボと二人なんかで歌う清志朗にはあまり興味が無く、
何らかのバンド、出来ればウルサめのバンドでヤる清志朗が最高に好きです。

お嬢ひばりも宇多田もめっちゃ上手くて好きですが、機会が無かったら頻繁には
聞きません。
しかし、強烈なパンチとフックが決まる女性ジャズボーカルと脳と魂を芯から揺
さぶるソプラノちゃんは定期的に必ず欲しくなります。

ここ半年程はカンダケイコさんっていう琵琶法師にお熱ですが、やはり女性の歌
ってのは特別なのかも知れませんな。
音楽や歌唱を超えたものを我々は感じ取って、有り難く癒される。
暫くはKK様のお世話になるかと思います。
25歳辺りで小野リサのプリティワールドとクリスマスアルバムの二枚無しでは
生きていけない時期がありましたが、今カンダさんに支えられての日々を送っ
て、ふとあの頃を思い出しました。
てか、親戚か姉妹やろ・・・ LOとKK。


アレサはジャズボーカルやソプラノには届かない一方で独自の何かを唯一届けて
くれるたった一人の一種類のボーカリストです。
その一曲一曲の想いや歌詞が何を伝えるために書かれたのかは知りませんが私の
手持ちの彼女の歌全て、その全てから負の何かを一切感じた事が無く、底なしに
ハッピーで、透明。
自分は今、清く正しく美しい完璧な世界に居るんだと、ついでに私も別に今のま
までいいかって(笑)  何とも天国みたいな女性です。


初めて意識して聞いたのは清志朗とチャボのラジオ、「ビンタンガーデン」か
「ラブオーバータイム」内でかかった「チェインオブフールズ」だったのです
が、もう、ホント、一発でやられましたね。
声も歌い方も歌も全部、何もかもがキレイ。
ああ、何て綺麗な人なんやろって。
後で知った顔まできれいで、もう、どうしたらエエんやろう、って。

大好きなアレサが逝ってしまいましたが、私の日常は何も変わらない。
大好きなアレサへの敬意も、接し方も、聞き方も何も変わらない。
アレサが居なくなって変わってゆくであろう全ての事柄以外何も変わらない。

ならば、私は覚えていよう。
まるでそこにアレサが居るかの様に振舞おう。
今迄通り、これからも今迄通りに。