第八回 オータムクラシックス

2018 10/5  

 

三大欲が高まる秋、他化自在天の秋、そしてクラシック音楽の秋。

退屈、長い、堅苦しい、何聞いてもだいたい一緒、オーケストラ、指揮者、燕
尾、派手なドレス、咳払い、木のホール、チケット馬鹿高い、ブラーヴォ、ブラ
ーヴァ、ジャッッジャアーーーン!!
興味無い人にとってはザッとこんな感じではないでしょうか。


題名の無い音楽会、N響アワー、芸術劇場、名曲アルバム・・・その昔、実家で
は台所が家族の団欒場所だったので、そこでは点けっ放しのテレビがニュースや
CM、バラエティ、アニメーションやドラマ等の放送を休み無く受信し続けま
す。
そんな中で上記の様な番組にチャンネルが合っているとクラシック音楽が流れて
きて、全員がボーっとしてる時や、ボレロの様な変だけどキャッチーなものが流
れた時以外は誰かが直ぐにチャンネルを変えていました。


そんなある日、目的も無くザッピングしていましたら、確かN響アワーだったと
思うのですが、初老のおっさんがオーケストラをバックに一人だけ突っ立って指
揮者の横でバイオリンを弾いています。
「お、何やこれ。」
ドイツ顔の白人のおっさんがアクション多めで紅潮した顔をフンッフンと振りな
がら前後左右、特に前後のステップがオーストラリアGPでチェッカーを振る
グレンディクス氏の様に激しく、ひたすら弾いてます。
「おうおうおうおう、何や、何やこれ!」
私以外は早くチャンネルを替えたがっていたので、隣室へ行き続きを見ました。

背広着て、蝶ネクタイしたフォーマルなおっさんが口半開きの恍惚顔で淋しい頭
髪をチラかしながらバイオリンを弾き倒すという、異様さと可笑しさとカッコ良
さがロックンロール以外の何物でも無く、
「このオッサン、後でめっちゃ怒られるんやろな・・・」
と思いながら見ていました。

見終わってポカーン。
大、大、大喝采ですわ。 ずーーーっと拍手が鳴り止まない。
クラシックの知識がほぼゼロの私は何から手を付けたらいいのかすら解からない
自分に強烈にイライラしながら、さっき目の前で起こった現象の全てを今すぐに
知りたいという欲求で全身が満たされました。
欲求不満の状態です。

先ずは!週末に再放送されるN響アワー(うん、やっぱりN響アワーで間違いな
いかと)を録画!  今回は頭からちゃんと見ます。


チャイコフスキーバイオリン協奏曲35 N響featギドンクレーメル
運命の出会いですな。
このクレメル師匠は世界で最も重要なバイオリニストの一人です。
そして私にとっても特別な一人です。

とはいえ、このバイオリニストの好み、というのが本当に面白くてその筋の評価
と自分が受けた感想が驚くほど違う事が多いです。
どんな事でも、特に音楽はじめ芸術系はそういう事が多いですが、バイオリンの
ソリストに於ける世間やその筋と私のかけ離れ具合には毎回10秒程落ち込む位
に相反する事があります。


チャイコフスキーのバイオリン協奏曲がかなり好きな私は、ソリスト、指揮者、
楽団、ホール違いで十数枚持っております。
中にはビルトゥオーゾと呼ばれる最強クラスのソリストの盤も数枚有りますが、
一番のお気に入りは超達人と呼ばれる彼らの演奏ではありませんし、当面針を
落とす予定の無いチャイコンの中にビルトゥオーゾの演奏もあります。

ハイフェツ。
このラスボス級の大達人の演奏が全く退屈でドライブしない。
ジョンリーフッカーやロバートジョンソンは 「うん。わかんない!」 と1、
2回聞いてポイしましたが、ハイフェツは、流石にこれが解からんという訳には
いかないのだ!  何としても、解からねばいかぬのだ!! と言う鬼気迫る面
持ちで繰り返し繰り返し聞きました。

チャイコンに留まらず色々なハイフェツを買いましたが、ほぼ売りました。
ジョンリーもロバジョンも今では無くては生きていけない位好きですがハイフェ
ツは未だに解かりません。
クレメル師匠を筆頭に私とユダヤ人バイオリニストとの相性の良さはピカイチに
高いのですが・・・
ハイフェツを崇拝するレビンも大好きなんですが・・・


パガニーニ
大魔王。
バイオリン王国の絶対君主。
いやー、好きなんすよww
なんつーか、 伝説的っつーか、 同じ時代同じ場所に生まれたかったなーっつ
って。
見たいなー。 絶対カッコいいだろうし、面白いだろうなー。
ベルゴンツィ、グァルネッリ、大魔王の使う武器は名前までかっこいい!

クレメル師匠やアイドルみどりとも縁のあるガルネリ!
ガールネリ! ガールネリ! ミーアンドガルネリデステニー!!
ハイフェツ=ガルネリ・・・
うーむ・・・マジか。


パガニーニの作品の中で一番好きなのはVn協奏曲でもヴェンティクァットロカ
ップリーッチでも無く、バイオリンとギターのためのソナタ集です。
なんて事の無い作品なのでしょうが、音源毎のバリエーションがびっっっっくり
する程振ってて
「何勝手な事してんねん!!」と腹がよじれる位笑えるものから、カッコ良すぎ
てチョイ泣きしてしまう物まで、実に楽しいでござるよ。

庄司紗矢香
好き。
いろいろ好き。
うまい!! 日本人の中では一番ヤバいです。
みどりさんは生き様、思想、活動に於いて私の中では最早生ける伝説と化してい
るので、さやかより好きですが、ここだけの話演奏だけで言えば、さやかの方が
好みです。
あと、演奏中の顔がヘタなAVなど足元にも及ばぬ程にエロいです。
これは書きたくなかった! さやかをそんな目で見て欲しくないからだ!
無論私はそんなさやかで抜いた事など一度も無い!
男とは、好き過ぎたら逆に抜けない生き物なのだよ!!

 

そもそも我々テレビゲーマーはクラシック音楽に接する機会が多いです。
私のように知識無き者は後から知るのですが、クラシッカー兼ゲーマーな少年少
女達はゲームをしながら内心ほくそ笑んでいた事でしょう。
マリオブロス、ジャイラス、チャレンジャー、ルート16、テトリス、他にも一
杯。そして、ドラゴンクエストシリーズ

ドラクエのレコード買うたら本物のオーケストラが鳴ってタマゲルっていう。
確かドラクエⅢからはN響をすぎやまさんが振るっていう。
でもこれがチビの私には凄くって、NHK交響楽団ってカッコええな~って。
後にN響の真の立ち位置を知って逆に、ゲームの音楽なんかよくやってくれたな
ーって。
で、もうちょっと後にはまぁ、すぎやまさんってドラクエ以前にめっちゃ凄い人
やからなーって。


リヒテル、ビドビク、ブローウェル、ソプラノちゃん、
革命、大聖堂、十一月、ドンデリエータ、ラシアキオピアンガ・・・・・
秋の夜は長く、故に馳せる思いもより遠くへ。
彷徨う魂はバイオリンの音色に宙返りで遊び、
己がディーバの声に光を取り戻し安楽を得る。

 

あ、因みにワテのベストチャイコンは、カラヤンが振る鋼鉄のベルリンフィル
乱舞する女王アンネゾフィームターのお転婆時代の一枚だす。